藍染の効果(殺菌・消臭・保温etc.)

藍とは藍色の色素を含む染料や植物のこと

藍とは植物の中に含まれている成分が変化して生じた、藍色の色素を含む染料のことです。

また、それを生み出す植物のことや、色を指したりもします。藍の色素は、インジゴ(インジゴチン)と呼ばれ、これを繊維に染めつけることで、藍色の染色ができるのです。

インジゴとは、インドで栽培されている藍植物からとれる天然藍(インド藍)のことを指し、「インドからきたもの」というのが本来の意味ですが、その中に含まれる色素の物質名ともなっています。

藍で染めた下着は昔から冷え性や肌荒れによく効きました

それでは藍染の薬理的効能といわれる殺菌・消臭・保温効果について、いろいろなお話をしましょう。

藍で染められた下着は、昔から冷え性やあせも、肌荒れなどに効果があるといわれています。防虫効果も高く、江戸時代の衣類も藍で染まった箇所だけ虫が喰わなかったり、高価な着物は、藍の風呂敷で包んでしまう習慣がありました。

また、水虫に効く、マムシよけになるとして、手甲・脚絆(しゅこう・きゃはん)を染めていたという話も伝えられています。

“藍染の肌着や靴下は臭くならない”というのも実感されている方は多いようです。

古くからの薬学書『本草綱目』『神農本草経』等には

藍の持つ薬効がズラリと記載されています。


そもそも草木からとった藍の染料は、布を染めるという以前から、病気に効く薬として効果効能を追求したもので、太古の儀礼や儀式においては、色そのものに効果が期待されたものでした。

それらの特性が長い年月にわたって活用されてきたことを考えると、単なる呪術的宗教的な意味だけでなく、実際に効果を期待できたということです。

逆に言えば、漢方、生薬と呼ばれるものの大半は、染料としても利用できるという側面を持っていたのです。

まさに色は命を支えるものでした。

なかでも藍は、さまざまな効能から洋の東西を問わず、薬として認められてきました。

中国や日本に昔から伝わる薬学書、『本草綱目』『神農本草経』『本草拾遺』『開宝本草』といった書物には、藍の利用法や効果、効能がズラリと記されています。

近年でも、林原生物化学研究所などが藍の抗炎症作用、抗菌作用、抗酸化作用についての発表をするなど、改めて藍の効果効能に注目が集まってきました。

本草綱目2
本草綱目1
本草綱目3

藍の様々な薬効が記載されている「本草綱目」

藍の効果効能

生薬名 読み 植物・薬用部位 効果効能
藍草 あいそう 蓼藍の全草 月経不順・痔・発熱・外傷
青黛 せいたい 蓼藍の華 解毒・消炎・殺菌・止血
藍実 らんじつ 蓼藍の種 解熱・解毒
藍葉 らんよう 蓼藍の乾燥葉 虫の刺傷・腫物
板藍根 ばんらんこん タイセイの根 感冒・咽喉炎・肝炎

『神農本草経』『本草拾遺』『開宝本草』『本草綱目』などによる

防虫効果もあるので野良着やモンペ、足袋などにも利用

藍で濃く染めた布や紙は虫を寄せつけないとも言われます。

ヘビも近寄らないため、農家の人の野良着やモンペ、足袋など仕事着に藍染が用いられました。

藍染の着物をタンスに入れておくと、ナフタリンなどの防虫剤を入れる必要は確かにありません。

大切な物は、ウコンや藍染めの風呂敷に包んできたのです。

染めた布や糸も、紙に包んでダンボールの中で寝せていますが、防虫剤は必要はありません。

藍染の足袋

解毒・鎮静剤として薬効がある

薬用として、藍葉や藍種は、ふぐ毒(テトロドトキシン)の解毒の代用に、また解熱用の風邪薬として、また、健康増進として使われていた時代もあるようです。

藍種・藍葉は、煎じて飲めば健康増進に良いと言われています。

正徳2年(1712年)の「和漢三才図絵」の序の中に、藍の実には諸毒を解し、五臓六腑を整える薬効効果があると記されています。

そして昔の旅人は、藍葉を持って旅し、食あたりや熱冷ましに用いていたというのです。

また、殺菌作用や解毒作用のほか、抗ウイルス作用があり、がん細胞を攻撃する作用があるといわれていますが、医学的な裏付けがあるわけではありません。

藍染はインフルエンザに効く!?

藍染は糸を強くするそうです。
昔は火消し装束、よろい、かぶとの紐、剣道着等に藍染めが用いられました。
最近では、紫外線の遮蔽効果があることがわかり、研究されています。

また藍染の廃棄物に抗インフルエンザ物質が含まれることを大阪の業者が発見したそうで、2009年2月1日付の「朝日新聞」に記載されています。
記事によると「タデアイ」の茎のエキスを調べてもらったところ、流行していたA型インフルエンザのウイルスの増殖を抑える効果があることがわかったそうです。

「タデアイの葉は藍染に使われますが、茎は捨てられていました。

企業と組み、加湿器やマスクに利用するなど商品化を目指している」と、記載されていました。

藍で作ったお茶には様々な効能があります

藍の効能は、古代より漢方薬として使われていたことはすでに述べましたが、藍で作ったお茶には、消炎、解毒、解熱、止血、血圧抑制などの作用があるそうです。

藍のお茶の色は普通のお茶の色をしています。

文献に記述されている板藍根(ばんらんこん)というのは生薬名で、アブラナ科の植物、ホソバタイセイ(細葉大青)の根のことです。

中国・江蘇省などで使われ、日本には江戸時代に青色をとるための染料植物として入ってきました。

お茶として飲む時は、板藍根を2~6gを刻んで使用します。

日本でもエキスや飴、錠剤などの形で市販されています。

薬局でも飴が1袋300円程度で売っています。

板藍根は解毒、解熱作用があるので、図表にもあるように、咽喉炎・肝炎のほか風邪の諸症状を緩和するために中国では日常的に用いられています。

そのほかにも、ウイルス性肝炎、扁桃腺、気管支炎など熱を伴う病気の症状緩和に広く生かされ、炎症を抑える効用もあることから、ニキビや湿疹、吹き出物、帯状疱疹にも効果があるとされています。

板藍根は、中国の家庭では常備薬として一般的で、エキスを砂糖で糖衣錠のものがよく使われています。

この名前が急速に広がったのは、SARS(重症急性呼吸器症候群)が猛威を振るった2003年春のことでした。

中国、香港などアジア一帯で猛威を振るったSARS対策として、一時は品切れになるほど板藍根が売れたそうです。

ただ残念ながらSARSに対する効能はまだ医学的には実証されていないそうです。

大青葉はもともと藍染の藍色色素に使われていたものが多く、抗菌、抗ウイルス作用が見られます。抗ウイルス作用をさらに強めるため、板藍根と大青葉を合わせて用いる場合もあるそうです。

大青葉を水に浸し、石灰などで処理してできる青い粉末状の色素は青黛と呼ばれ、殺菌作用や抗ウイルス作用があるほか、がん細胞を攻撃する作用があるといわれています。

それでは藍の種を使用したお茶の作り方をお教えしましょう。

藍の種を1時間ほど弱火で焦げないように煎じ、後は普通に薬草茶を飲むのと同じように、急須に入れてさらに熱湯を注いで薄め、1~2分ほど蒸らしてから、湯飲みに入れていただきます。

「良薬は口に苦し」というだけあって、あまり美味しくはありません。

板藍根

「板藍根」は風邪の諸症状を緩和するために中国では日常的に用いられています